私は「ゴルフコーチ」という名称を使いますが、同じ仕事をしている人でも、「ティーチングプロ」と言ったり、「インストラクター」と名乗る人達もいます。
特に意識して呼び方を変えているつもりはないかもしれませんが、その意味を考えると指導スタイルの違いに出ているかもしれません。
言葉の意味がわかれば、指導の幅が広がるかもしれませんよ。
「コーチ」「ティーチ」「インストラクション」の違い
どれも普段さりげなく使う指導者の呼び名ですが、実は意味を調べていくと教え方のスタイルが違うことに気づきます。
ティーチ(teach)は教える
TeachはTeacher=先生など使われる通り「教える人」という意味を持ちます。
教えるという意味に含まれるのは”知識や技術を伝えて身につけさせる”ということです。
教科書の内容を分かりやすく伝える先生が良い例ですが、特定の知識を伝えるというイメージが強い職業で使われます。
インストラクション(Instraction)は指示する
次にインストラクションですが”指示する”という意味を持ちます。
具体的にこのように動いてください。というように文字通り”指し示す”ということです。
ですから指示によって相手を動かすというニュアンスが含まれるので、スポーツ指導者に最も多く使われる呼称ではないでしょうか?ゴルフインストラクターの他にも、ヨガインストラクターや、パソコンインストラクターなど、お手本を示してその動きを真似てもらうような指導スタイルによく使われるイメージがあります。
コーチ(Coach)は導く
次にコーチですが、以前の『コーチングとは?ゴルフコーチから学ぶ「コーチング」』でもご紹介した通り、語源は「乗り物」で目的地まで運ぶ(導く)という意味で指導者に使われている言葉です。
ですから、相手の目的地を知る(カウンセリング)から始まり、常に相手の動機(行動の意味付け)を行いながら指導するスタイルです。
なので、あまり理論や意見を押しつけず、相手が達成したい目標や方法で達成できることをサポートするという意味を持っているように思います。
コーチングの主役はあくまでも相手
これは私がいつも気をつけていることですが、もし相手が目標を持たない場合、そこにコーチングは無力だと思います。
これは具体的な目標がないといけないという訳ではなく、例えば何らかの成長意欲であったり、行動を変えたいという変化欲求であったり、そういう動機がある場合にはコーチングが力を発揮すると思いますが、例えばやりたくない仕事をやる気にさせるみたいな場合だと、私はまずインストラクション(指示型の指導法)から入って、スキルが身について楽しさが出てきたら、コーチングに移っていくなどの指導方法が適しているのではと思います。
もちろんやる気を引き出す方法としてのコーチングもありますが、それは「動機を与える」という意味であり、動機を与える手段としてインストラクションやティーチングをその手前で使っていくのも指導者の腕の見せ所だと思います。
やはりこれまでも述べてきているように、良い指導者とは相手によって自分の指導スタイルが変えられるということだと思います。