月刊ゴルフマネジメント連載#50 飲みニケーションによる相互理解が生み出す意外な効果

ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』で、人材育成に関するコラムを連載させていただいております。

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第50回はのテーマは『飲みニケーションによる相互理解が生み出す意外な効果』です。

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ゴルフ場はほとんどの方が車で通勤していることや、またシフトで働いていて就業時間や休日もバラバラなので、従業員同士が集まって飲みにいく機会は少ない職場と言えると思いますが、そうした就業時間外の飲食を共にする時間が、どのくらい組織の凝集性や生産性に影響を与えるのでしょうか?

目次

飲みニケーション

「飲み会」はお酒が入ることで普段よりリラックスした状態で話ができ、上司や同僚、他部署の人と垣根を超えた交流を深められます。また、インフォーマルな場であることから、仕事以外の私生活の話しもしやすく、意外な一面を知ることで親睦や相互理解が深まり、信頼が向上するという効果が期待されます。

一方で日本生命保険相互会社が2022年に行ったインターネット調査では、飲みニケーションを「必要」「どちらかといえば必要」と回答した割合は45.6%で、「不要」「どちらかといえば不要」と回答した割合は54.4%と、不要と考える人の割合が多くなっています。

さらに男女別で傾向を見た場合、男性では53.0%と半数以上が「必要」「どちらかといえば必要」と回答したのに対し、女性では37.1%が「必要」「どちらかといえば必要」と回答するなど、性別による違いや、年代別では「必要」「どちらかといえば必要」と答える20代は41.9%と最も低く、女性や若者にとっては飲みニケーションはネガティブな印象を持つ方がマジョリティになっています。

飲食を伴う交流のメリット

社員間だけに限らず、接待など社外の方とも仕事を離れて親睦を深めるメリットは多数あります。

親睦が深められる

日本労働組合総連合会の調査によると、仕事や職業生活に関してストレスを感じている人は全体の74.3%。ストレスとなっていると感じるものは、1位「職場の人間関係」(30.9%)となっていますが、職場ではそれぞれの仕事が忙しくて、なかなか改まって打ち解けるための話をする機会がないというのも事実です。

会食の機会があると、従業員同士があつまり、普段はなかなか話しをする機会のない上司や、他部署の社員などとも交流するチャンスが生まれます。

さらに業務中とは異なり仕事以外の話で盛り上がることもできるため、社員同士で親睦も深めやすくなります。

本音で話しやすくなる

本音で話すとはすなわち「自己開示」ですが、双方が自己開示を行うことで相互理解が深まり、心理的安全性の形成につながると言われています。

仕事中は仕事以外の話をするのは憚られますし、改まって自分の私生活について同僚と話す時間は取れませんから、こうした場では程よいリラックス感が働くことで、自分の仕事以外の面や、「実は…」と言った本音も飛び出し、相互理解を深めやすくなります。

飲食を伴う交流のデメリット

お酒が伴う場合は、適量であれば程よいリラックスで良いコミュニケーションツールとなるものの、トラブルにつながってしまうこともありますし、負担にもなりかねませんから、配慮も必要となります。

業務外の時間を割く必要がある

こうした会は、就業後の夕方以降の業務時間外に行うことが一般的ですから、早くとも夜9時頃まで続くことが一般的です。そこから帰宅すれば10時を過ぎてしまいますし、さらに二次会、三次会となれば、家庭への影響に限らず、翌日の体調にも影響が出てしまいます。

金銭的な負担がかかる

多くの場合は自己負担ですから、頻繁な飲み二ケーションは金銭的負担を強いることともなります。国内在住20~60代の会社員・公務員の方1000名を対象にした調査では仕事関係の飲み会の理想の頻度は「月1回以下」が78.8%と回答している通り、頻繁な開催は避けましょう。

関係が悪化してしまうケースも

交流によって仲が良くなるケースもあれば、逆にセクハラ、パワハラ、アルハラなどのハラスメントでかえって人間関係を悪化させてしまう場合もありますし、お酌の強要や、後輩や部下への執拗なマナーの強要によって印象が悪くなってしまうケースもあります。

飲み会による相互理解が生み出す効果

これまで書いた通り、飲みニケーションにはメリットもデメリットもありますが、「相互理解」がもたらすメリットは以下のことが挙げられます。

生産性の向上

職場で相互理解を深めるメリットの一つは、職場の生産性が向上することです。

一緒に作業する相手の考えが理解できていれば、細かく打ち合わせをしなくてもスムーズに作業が進みますし、相手の性格や得手不得手を理解できていれば、仕事をフォローしてあげることも可能になり結果として無駄な作業を減らすことができ、会社全体で作業を効率よく行えます。

従業員同士のトラブルや対立の抑制

相互理解を深めることで、従業員同士のトラブルや対立を抑制する効果が期待できます。

従業員間に誤解が生まれにくくなったり、意思疎通がしやすくなり、トラブル防止につながります。知らなかった相手の家庭環境を聞いたことで、今までイライラしていたシフトの交代も受け入れられるようになるというケースもあります。

またちょっとしたトラブルがあっても、上司との関係がよければ、気軽に相談もしやすく、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

お互いの意見や人柄を理解し合い、相互理解を深めることで回避できるトラブルも多いはずです。

個性を活かすマネジメントの実現

上司と部下の相互理解が深まれば、個性を活かすマネジメントも可能になります。

趣味や将来の目標なども聞くことで、意外な才能を見つけて仕事に応用できるかもしれません。実際に私も一人の従業員から「写真を撮るのが趣味」と聞いて仕事で使う写真を撮ってもらったなどの経験がありますし、運動部のキャプテンをやっていたと聞いてリーダーを任せたなどの経験があります。

相互理解を深めることができれば、その人の適性に合わせた業務を与えることができたり、人事に活かすことができます。

飲みニケーションの注意点

これまで書いてきた通り、飲食を通じた職場の交流は生産性や、職場の心理的安全性、マネジメントにもポジティブな効果をもたらします。

デメリットやリスクを十分に理解して、「自由参加であることを伝える」「費用の一部を会社負担にする」「終了時間やハラスメントに対するルールを決めて実施する」などの工夫をすることで、有効なコミュニケーションの場となります。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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