本記事はOpne AIが提供する”Deep search”を使用して情報を収集整理し、筆者が実際に視察した現場や、視察時の関係者の話と照会しながら書いたものです。

近年日本のゴルフ場では、気候変動に伴う特に夏の高い気温によってプレイヤーの集客と営業への影響だけではなく、コースにも深刻なダメージを与えています。
特に温帯も北上しており、東北や北海道など、以前は灌水が不要だったコースもフェアウェイやティーにスプリンクラーを追加したり、あるいは酷暑で有名な埼玉などのエリアではグリーンを寒冷地用のベントグラスから温暖地用のバミューダ系品種への転換をするコースも増えてきました。
筆者が改修工事に関わった春日井CC(愛知県)でも、グリーンに第7世代のベントグラスOAKLEYを日本で初採用するなど、今後も進むであろう温暖化への対策としての草種転換は、その地域の気候やコースの特徴、あるいは客層や管理体制に応じて様々な検討がされています。
今回は現在日本のゴルフ場で温暖化対策として採用が検討される3つの代表的な品種についてその特徴を整理してみました。
3つの代表的な耐暑性グリーン芝の比較表

特性 | Primo Zoysia (プリモ・ゾイシア) | TifEagle (ティフイーグル) | OAKLEY (オークリー・ベント) |
---|---|---|---|
原産地・種 (Origin & Species) | シバ属(Zoysia matrella)。ゴルフグリーン用に改良育種された超細葉のゾイシアグラス。米国Bladerunner Farmsで開発、現在は東南アジアを中心に普及している。 | バミューダグラス(Cynodon dactylon × C. transvaalensis)。ジョージア大学Tifton試験場で育成され1998年リリース。ティフドワーフの後継となるウルトラドワーフ品種で、グリーン専用に改良。 | クリーピングベントグラス(Agrostis stolonifera)。米国Rutgers大学とUSGAが共同開発し2020年前後に発表。従来種に比べサステナビリティ(環境適応性)を向上させた最新世代のベントグラス。 |
成長適温 (Growth Temperature) | 暖地型(夏型)芝。高温期に生育旺盛で耐暑性極めて高い。真夏の酷暑下でも生育可能で、乾燥にも強い。一方、低温期は休眠し冬季は葉色が褐変。 | 暖地型芝。高温多湿の環境下で良好に生育し耐暑性は高い(40℃近い酷暑にも耐える)。耐寒性は中程度で、冬季は休眠して葉色が淡褐色になる。 | 寒地型(冬型)芝。生育適温は15~25℃前後の涼しい気候で、真夏の高温下では生育が低下。従来のベントより耐暑性は改善され、夏季の品質維持に優れるとの試験結果ありが、猛暑時には散水や冷却管理が必要。 |
適正土壌水分 (Soil Moisture) | 低水分要求・高い乾燥耐性。根系が深く確立後は潅水量を大幅に減らせる。非常に耐旱性が高く、盛夏でも従来のベントグリーンより約50%少ない潅水で維持可能。極度の乾燥下では休眠するが、生育は持続。 | 中程度の水分要求。暖地型の中でも比較的乾燥には強い方で、深い根により耐旱性は「Low~中程度の潅水で可」。ただし高密度かつ浅芝層のため真夏はこまめな潅水が望ましい。過湿にも比較的強いが、排水不良はサッチ蓄積を助長する。 | 高水分要求。浅い根圏で生育するため乾燥に弱く、夏季は毎日のように潅水が必要。ゾイシア系と比較すると約2倍程度の水量を要する傾向がある。土壌水分を適切に維持すれば年間を通じて安定したターフ密度を発揮する。 |
耐病性 (Disease Resistance) | 高い耐病性。芝草病害への罹患が少なく、パッチ病等にも強い傾向。ベント/ポア属混播グリーンに比べ殺菌剤散布を大幅に削減可能(化学薬品使用量が60%減との報告)。大型斑菌核病等のリスクは低いが、初秋の高湿条件ではパッチ病対策で予防散布を行う場合も。 | 中程度の耐病性。夏季の葉枯病やパッチ病には強いが、高温多湿下ではピシウム病など土壌病害に留意が必要。密度が高く通風不良だと病気リスクが高まるため、高温期には予防的な薬剤散布が欠かせず、化学薬品投入量は多め。またネマトーダ(線虫)害を受けやすく、その防除も課題となる。 | 高い耐病性。特にダラースポット(Dollar Spot)に極めて強く耐病性に優れる改良品種。シーズンを通して芝質を維持でき、殺菌剤の使用頻度を従来品種より減らせる。とはいえ高温期のピシウムや降雨過多時のブラウンパッチには通常のベント同様注意が必要。 |
耐暑性 (Heat Tolerance) | 極めて高い。暖地型芝の中でも屈指の耐暑性を持ち、40℃近い猛暑でも生育を維持。高温下でも葉色維持が良好で、真夏でもグリーンスピードを安定供給。暑さによるストレス下でも2.5mmの極低刈込みに耐える実績。 | 高い。暖地型として高温への適応力は高く、35℃超の環境下でも品質を維持。ただし極端な直射日光と高湿度が重なる条件ではナイーブになる場合があり、適切な散水・更新作業により乗り切る必要がある。午後の西日による高温には弱い傾向との報告もあり、部分遮光やクーリングが有効。 | 中程度。改良により耐暑性は向上しているが、基本的には冷涼気候を好む。気温30℃を超える期間が長引くと生育が鈍化しやすく、ナイトロフィル(高温障害)に陥るリスクがある。それでもOakleyはNTEP試験で夏季の品質スコアが上位に入るなど、ベント品種中では随一の耐暑性を示す。猛暑時には送風機や散水でのクーリングが必要。 |
耐摩耗性 (Wear Tolerance) | 非常に高い。葉は細く柔軟だが強靭で、踏圧や摩擦による傷みに強い。プレーによる損傷が生じにくく、また生育も比較的遅いため刈込頻度も抑えられる(刈高2mm程度でも管理可能)。ただし乾燥しきると硬い茎となりやすく、ボールの打痕がつきにくい反面、極度乾燥下では柔軟性低下に注意。 | 良好。芝丈が低く密度が高いため、ボールや足による摩耗にも強い。踏圧で一時的に芝がへこんでも、バミューダはランナーの高速な横展開で速やかにリカバリーする。耐摩耗性は高いが、酷暑期にストレスが蓄積すると踏圧による薄密化が起こり得るため、定期的な更新でリフレッシュすることが重要。 | 非常に良好。密度が高く匍匐茎で繁茂するため、ベントグラスとしては踏圧に対する耐性・回復力が高い。品種改良により**「優れた耐病性と高い摩耗耐性」を実現**した芝と評価されている。ただし暖地型ほどの急速な自己修復力はなく、損傷箇所の回復には時間がかかるため、過度のトラフィックは極力分散させる管理が望ましい。 |
施肥量・頻度 (Fertilization Needs) | 少量で維持可(低肥沃要求)。確立後は最低限の肥培管理で良好な緑を維持できる。年施肥量はベントの半分以下で済む事例もあり、過剰施肥はサッチを増やすため禁物。高品質を求める場合でも年間窒素量は中程度で十分で、肥料反応も穏やか。低投入でも生育が極端に鈍らないため、低~中管理体制でも対応可能。 | 中程度。高密度な生育を維持するためには定期的な施肥が必要。一般的には年間を通じ中~高水準の窒素投入が推奨される(成長期は小まめな液肥散布が多い)。過剰施肥はサッチ蓄積を招くため「施肥要求はModerate(適度)」との評価。低管理では密度低下を招きやすく、高管理では週次の軽い施肥と月次の粒状肥料投入など集中的なプログラムが必要。 | 中~高程度。寒地型芝としては標準的な施肥要求量で、健全性維持には定期施肥が不可欠。密度確保のため年間を通じ適切な肥培管理が必要だが、Oakley自体は過剰な肥料に伴う「徒長・プファ」(茂りすぎによる軟化)が起こりにくいとの報告もある。そのため必要以上の肥料を減らしつつ、適度な施肥で高品質を維持できる可能性があり、中~高程度の管理で本領を発揮する。 |
施薬量・頻度 (Pesticides Usage) | 極少。病害虫発生が少なく、殺菌剤・殺虫剤の散布回数はベントグリーンに比べ大幅減少。ピークシーズンに化学薬剤使用量を60%削減できた事例あり。年数回、予防的に殺菌剤(大斑病対策)を実施する程度で、基本的に低農薬管理が可能。 | 多め。高品質を維持するには定期的な薬剤散布が必要。特に夏季の殺菌剤、殺線虫剤の投入は欠かせず、化学的な投入量は高水準となる。年間を通じ複数回の殺菌剤ローテーションや、必要に応じ殺虫剤散布が求められる。低農薬で管理すると品質低下や病害発生リスクが高まるため、高投入前提の管理に適する。 | 中程度。従来のベントに比べ耐病性が高いため、特に防除が難しいダラースポットに対する殺菌剤使用は大幅に削減可能。しかし高温多湿期の病害や害虫(シバオサゾウムシなど)対策は必要で、年間の農薬散布は中程度の頻度で行う。薬剤抵抗性や環境配慮の点からも、低投入で維持できる暖地型芝に比べると相対的に管理コストは高め。 |
エアレーション サッチ管理 (Aeration/Thatch) | 低頻度で可。生育が遅めでサッチ蓄積が少ない品種のため、過剰なバーティカット(サッチング)は不要。年1回程度のコアリング(もしくは年数回のスパイキング)で土壌の通気を図る程度で維持可能との事例もある。実験でも「従来は年2回の穴あけ更新を削減できる可能性」が示唆されている。ただし土壌が極度乾燥すると硬化するため、適度な土壌水分管理と時折の薄目のサッチングで表面の柔軟性を保つと良い。 | 高頻度が必要。高密度なマット層が形成されるため、定期的なバーチカルカット(サッチング)が必須。場合によっては成長期(夏季)には週1回程度の浅いグルーミング/バーティカットと、月1回程度のコアリングが推奨される。放置すると有機物蓄積でスプラッチが悪化し病害も誘発する。従って集中的な更新作業が必要であり、管理負荷は大きい。 | 中程度。ベントグラスとして標準的なサッチ管理が必要。Oakley自体はパフ(茎の膨れ)になりにくく茎葉の密着度が高い高品質ターフを形成するため、極端なサッチ蓄積は抑えられる傾向。ただし毎年1~2回のコアリングと適宜の目砂・ブラッシングは不可欠である。従来型ベントよりサッチ管理性がやや良いとはいえ、暖地型芝ほど楽にはいかない点に留意。 |
プリモゾイシア(Primo Zoysia:ゾイシア系品種)

プリモゾイシアの特徴
プリモゾイシアは、暖地型芝(Zoysia matrella)に分類される改良品種で、非常に細かい葉を持ち、グリーン用途にも適用可能なゾイシア系芝草です。高密度で生育し、耐暑性や耐旱性に優れているため、温暖化に伴う高温環境下でも良好なパフォーマンスを発揮します。成長が比較的遅いため、刈込み回数を減らせる一方で、回復力はやや遅い特徴があります。
また高麗系芝品種で心配されるGrain(芝目)も感じられないことから、スムーズで違和感のない転がりを提供します。
プリモゾイシアに適した自然環境
温暖湿潤地域で特に夏の気温が高く、冬は温暖な地域(関東~関西などの本州中南部)に適応します。
土壌特性は砂質から壌土まで幅広く適応しますが、水はけの良い環境が望ましいとされています。
耐旱性が高く、排水性の良い土壌では特に管理が容易になります。
耐暑性・耐旱性が極めて高く、低水管理が可能です。耐病性も高くベントグラスに比べ殺菌剤の使用を大幅に削減可能です。
プリモゾイシアに適した管理体制
刈込み回数が少なく、低肥培管理でも生育が可能なため、維持管理コストを抑えたい低管理向けのゴルフ場に適していると言われています。一方でこまめな刈込み、施肥・目砂を実施することで、高密度で高速なグリーンを維持する場合でも、ベントグラスよりもメンテナンス頻度は低いとされています。
またサッチの蓄積が少ないため、頻繁なエアレーションは不要で、年数回程度の更新作業(サッチングやスパイキング)で十分な状態を維持できると言われています。
耐病性も高いため、殺菌剤・殺虫剤の散布頻度は最小限で済み、ベントグラスと比較すると農薬使用量を50%以上削減可能です。
総評

プリモゾイシアは、耐暑性と低メンテナンス性を兼ね備えた芝種であり、温暖化の進む日本の本州エリアで特に有望な選択肢となり得る新種のゾイシア芝です。水管理や施薬管理の負担を軽減しながら、刈り込みにリソースを集中して、高品質なグリーンを提供したいコースに適しています。
刈高は2.8mm以下まで落とせるため、高管理のコースでは1年を通じて10フィート以上の高速グリーンを実現することも可能です。
ティフイーグル(TifEagle:バミューダ系品種)

ティフイーグルの特徴
ティフイーグルは、暖地型芝に分類されるバミューダ系のウルトラドワーフ品種で、極端に細かい葉と高い密度を持つ芝です。グリーンスピードの確保が容易で、極低刈り(2~3mm)にも耐え、トーナメントレベルの高速グリーンを作ることが可能です。成長が速く、損傷からの回復も早いため、高頻度の刈込みが前提の高管理体制に適しています。
ティフイーグルに適した自然環境
高温多湿の地域(関東以西の温暖地~九州)に向いています。耐寒性は低く、冬季は葉色が落ちるため、休眠防止対策(着色剤の使用など)が必要です。
砂質の排水性が良い土壌が最適で、湿気がこもると病害が発生しやすく、適切な水管理が求められます。
耐暑性・耐摩耗性が極めて高く、踏圧の多いグリーンでも長期維持が可能ですから来場者が多いコースにも向いています。
ただし、病害発生リスクが高いため、定期的な防除が不可欠です。
ティフイーグルに適した適した管理体制
特に高温期は成長が旺盛で刈込み頻度が非常に高くなります。トップドレッシングやバーチカルカット、エアレーションを頻繁に行う必要があり、高品質なグリーンを維持するには、専任の管理チームが求められます。
施肥量は中~高レベルが必要で、高密度な芝質を維持するために、定期的な窒素施肥と微量要素の補給が必要です。
サッチが蓄積しやすいため、年間2回のエアレーションと、頻繁なサッチングが必要です。
病害虫(特に線虫や葉腐病)対策として、定期的な殺菌剤・殺線虫剤の使用が必須で、ベントグラスよりも管理負担は大きいが、適切な管理をすれば安定したグリーン品質を維持できるとされています。
ティフイーグルの総評

ティフイーグルは、高品質で高速なグリーンを提供できる芝種ですが、管理負担が大きいため、高度なメンテナンス体制を持つコース向けです。トーナメント志向のゴルフ場に適しており、高温多湿な東南アジアや、アメリカ南部では高級ゴルフ場のグリーンに採用されるケースが多い芝種です。トップレベルのグリーン品質を求める場合に推奨されます。
オークリー(Oakley:ベント系品種)

オークリの特徴
オークリーは、寒地型芝の中でも耐暑性を強化した第7世代の改良品種で、夏の高温下でもベントグラスのグリーン品質を維持しやすい特性を持ちます。従来のベントグラスよりも耐暑性・耐病性が高く、猛暑時の管理負担が軽減されています。
オークリーに適した環境
温帯~冷涼地域に適応(関東・中部・関西の内陸部など)で、高温多湿環境ではストレスを受けやすく、ベントグラスの中では耐暑性が高いとはいえ、やはり日本では夏場の冷却管理は必須と言えます。
高い水分保持力を持つ土壌が適しているが、排水性の確保も重要で、湿気が多すぎると病害が発生しやすいため、砂に有機物や沸石などを混ぜた床砂を使用するのが一般的です。
従来のベントグラスよりも耐暑性が大きく向上していますが、暖地型芝には劣ります。
耐摩耗性は高いが、高温多湿環境では病害リスクがあるため、慎重な管理が必要になります。
オークリーに適した管理体制
特に夏場の冷却管理(送風や頻繁な散水)が必要で、特に猛暑時は病害リスクが高まるため、散水も含めて注意深い管理が求められます。
中~高レベルの施肥が必要。適切な窒素供給により、高密度で発色の良い芝を維持します。
生育は旺盛でサッチも堆積しやすいため、通気性を確保するために、年間2回のエアレーションが推奨されています。
耐病性は高い部類に入りますが、高温多湿期には殺菌剤の定期散布が必要で、病害(特にピシウム病)を防ぐために、予防管理が重要になります。
オークリーの総評

オークリーは、米国Rutgers大学とUSGAが共同開発し2020年前後に発表された最新のグリーン用のベントグラスです。
従来のベントグラスよりも耐暑性に優れた品種ですが、夏場の管理負担はやはり温暖地用の芝と比べると大きいため、中~高管理レベルのゴルフ場に適しています。
来場者が限定されたプライベートコースや会員制ゴルフ場で、ベントグラスのスムーズな転がりとグリーン品質を維持したいが、夏場のストレスを軽減したいというコースには適した選択肢となります。
コースによって適した芝種の選び方を
これまでみてきた通り、ゴルフ場の芝生は近年温暖化対策として品種改良が進んでおり、実際に日本だけではなく、世界各国のゴルフ場で草種転換が行われています。


草種転換にはここで挙げた意外にも様々な選択肢があります、実際のいわゆる名門と呼ばれるゴルフ場を中心にこうしたグリーンの草種転換が進んでいます。
自社ゴルフ場の自然環境だけではなく、年間のプレー人数や、管理のリソース、競技の有無など、コンセプトなど、様々な決定要因を踏まえて決める必要があります。
