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月刊ゴルフマネジメント連載#8 ビジネスマンの必須スキル「クリティカルシンキング(批判的思考)」と「ロジカルシンキング(論理的思考)」

ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』で、経営に関するコラムを連載させていただいております。

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第8回はのテーマは『ビジネスマンの必須スキル「クリティカルシンキング(批判的思考)」と「ロジカルシンキング(論理的思考)」』です。

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ゴルフ業界に限らず、どんな業界においてもビジネスパーソン必須の能力と言われるもののなかに「クリティカル・シンキング(批判的思考)」と「ロジカルシンキング(論理的思考)」が挙げられます。 複雑な物事や抽象度の高い話を体系的に整理し分かりやすく伝える能力は、組織を率いるリーダーには必要不可欠であることはもちろん、経験や直感だけに頼らず、客観的な視点で分析し、問題を解決する力として特にこの2つの思考力は重要視されています。 今回はビジネスを成功させる「考え方」について整理してみたいと思います。

目次

「クリティカルシンキング」と「ロジカルシンキング」とは

「クリティカルシンキング(批判的思考)」とは、物事を鵜呑みにせず、前提や情報の正しさを問い直しながら、自分なりの視点で多角的に評価・判断する力を指します。1980年代以降、米国を中心に教育分野で重要視されるようになった概念で、主に「①前提の確認」「②証拠の検証」「③反対意見の理解」などを通じて思考の質を高める手法とされます。

一方、「ロジカルシンキング(論理的思考)」は、前提・仮説・結論が一貫しているかを重視し、「①因果関係」や「②構造的整合性」に基づいて思考を構築する手法です。論理学の基礎に立脚しており、「演繹法(一般から具体へ)」「帰納法(具体から一般へ)」といった形式に従って議論を進めます。

簡潔にまとめると、クリティカルシンキングは「問い直す力」、ロジカルシンキングは「構造化する力」といえます。

この2つの思考は互いに補完関係にあり、片方だけでは不完全です。ロジックだけでは誤った前提に気づけませんし、批判的思考だけでは結論にたどり着けないため、実務上は常に両者を行き来することが求められます。

なぜリーダーに高い思考力が求められるのか

ゴルフ場をはじめとするサービス業では、現場判断が重視されがちですが、業績やサービス品質を左右する多くの判断や意思決定は、「構造的な要因究明」や「中長期的視野」が必要です。そのため、直感や感情を軸とした場当たり的な対応ではなく、情報を精査し、論理的に筋道を立てて意思決定するスキルが求められます。

とりわけゴルフ場のリーダー層は、天候、季節変動、人材管理、設備投資、地域社会との関係など多様な要素が絡み合います。どれか一つに偏るのではなく、複数の要因を統合的に考慮する力が必要です。

また、とりわけ日本企業では、前例踏襲や忖度文化が根強く、合理性を犠牲にする意思決定が起こりがちですが、批判的思考はこうした無意識のバイアスに対抗する力が身につきます。

さらにリーダーの思考が明快であることは、部下への指導や、会議での議論を明確にするうえでも重要です。論点を噛み砕いて提示するには、自身の思考が構造化されていなければなりません。

ビジネス環境が複雑化する現代において、経験や直感に頼るだけでは限界があります。組織のトップに立つ人間こそが、思考の質に自覚的である必要があります。

思考の鍛え方とケーススタディ

思考力は一朝一夕に身につくものではありませんが、一定のトレーニングによって強化することが可能です。以下に具体的な方法を紹介します。

前提を疑う習慣をつける:

例えば「平日は客が少ない」という仮説に対し、「なぜそう言えるのか?」「他の要因は考えられないか?」と問いを立てます。単なる経験則をそのまま信じず、データや他者の意見を踏まえて検証します。

「Why」を3回繰り返す:

問題の本質に迫る手法として、なぜ?を繰り返す「トヨタの5 Whys」が有名です。表層的な事象にとどまらず、背景要因や構造的課題を探ります。

フレームワークを活用する:

ロジカルシンキングでは、MECEやピラミッドストラクチャー、3C分析などのフレームワークを活用すると、論点の整理や伝達がスムーズになります。興味を持った方は「ビジネス フレームワーク」で検索してみてください。様々な思考の枠組みを知ることで、「考え方の型」を身につけることができます。

ケースを通じて学ぶ:

たとえば「ゴルフ場のレストラン収支が悪化している」というケースにおいて、直感的に味付けを変えたり、コストをげるのではなく、「メニュー設計が不適切では?」「スタッフ配置に無駄がないか?」「競合との価格差は?」など、多角的な視点で仮説を立て、検証を繰り返すプロセスが思考訓練になります。

こうした訓練を通じて、思考の精度とスピードは徐々に向上します。重要なのは、常に「なぜ?」「それは本当か?」「他の見方は?」と角度を変えて考え続けることです。

まとめ:知的筋力の必要性

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは、現代のビジネスパーソンにとって不可欠な「知的筋力」とも言える能力です。とりわけ、意思決定を担うリーダーにとっては、現状を正しく把握し、課題を構造的にとらえ、他者にわかりやすく伝えるために欠かせないスキルです。

ゴルフ場の経営においても、直感や経験値のみに頼る時代は終わりつつあると言われます。それは社員と経営者の情報の非対称性が低下して関係がフラット化してきており、客観的なデータや、論理的な思考をもとにした「納得感」がないと人や組織が動かなくなっているからです。ですから論理的、戦略的な判断ができる人材こそが、これからの経営を担うべき存在となるでしょう。

そして「知的筋力」は文字通り、鍛えれば鍛えるほど増幅する一方で、思考することを怠けてしまうと一気にその力は衰えてしまいます。

今日からでも、目の前の事象に対して一歩引いた視点で「本当にそれは正しいのか?」「本当の課題はなんなのか?」と自問する習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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