ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』さんで、人材育成に関するコラムを連載させていただいております。
第5回は臨床心理学、組織行動学などをベースにつくられた「感情表出」と「自己主張」という2つの軸でコミュニケーションタイプを次の4つに分ける考え方「タイプ分け」という方法を紹介します。
タイプ分けとは?
以前に状況やモチベーションとスキルの軸に応じてコミュニケーションスタイルを変えていく「パスゴール理論」という方法をご紹介しました。
今回は対人関係上の特徴から4つのタイプに対象者を分類する「タイプ分け」という方法を紹介します。
これは臨床心理学、組織行動学などをベースにつくられた分類方法で、「感情表出」と「自己主張」という2つの軸で、コミュニケーションタイプを次の4つに分ける考え方です。
コーチングや人材育成の現場はもちろん、構成メンバーを決めるチーム作りや担当部署を決める配置にも用いられています。コーチングは相手の主体性を引き出すことで成長を促す育成方法ですから、相手がどのようなパーソナリティを持っているのかを観察することが非常に重要になります。
1.コントローラータイプ
行動的で自分が思ったとおりに物事を進めることを好むのが特徴です。他人から指図されることを嫌い、感情が表に出やすく物言いがストレートで、その単刀直入な印象から時に攻撃的な印象を受けるので、周囲がその言動に振り回されないように注意が必要です。組織では頼り甲斐があるリーダー的存在としてみられている場合が多く起業家や経営者に多いタイプです。コミュニケーション上の反応速度が早いので、スピードや成果を求める仕事に向いています。
2.プロモータータイプ
アイディアを大切にし人と活気あることをするのを好みます。お喋りが好きで自分のアイディアや意見を披露する一方で人の話にはあまり耳を傾けない傾向があります。自分のアイディアに対して自信をもっているので否定せず独創性を活かせるような仕事にアサインすると才能を発揮します。カジュアルなコミュニケーションを好む組織のムードメーカー的な存在で、ジェスチャーや抑揚のある喋り方は対外的にも効果を発揮するので社外との調整が必要な仕事にも向いている一方、ルーティーンワークや細かいことを丁寧にしていく仕事は苦手です。
3.アナライザータイプ
慎重かつ冷静で行動を起こす前にしっかりと情報の収集や分析を行う特徴があります。判断や行動に際しては事前準備をする時間を設けることを重要視するので、このタイプとの対話では返答はじっくりと待つという心構えが必要です。組織では真面目で冷静な大人しいタイプとみられる場合が多く、失敗や間違いを嫌うため、臨機応変さやスピードが求められる仕事よりも、正確性を重視する仕事に向いています。
4.サポータータイプ
他人と協力することや支援することを好み対立を嫌います。気配り上手で穏やかで優しそうな印象を与えます。一方で他人の視線や評価を気にするあまり自分の意見を主張しないので、組織では大人しくて主体性に欠ける印象を持たれることがあります。意見を出したり、何かを判断したり、計画することが苦手なので、リーダーや管理職には向かない傾向があります。一方で他者の言動に敏感で周囲の様子を常に伺っている分、期待や称賛が行動の原動力になるので、良きフォロワーとして組織やリーダーに貢献する役割でパフォーマンスを発揮します。
相手のコミュニケーション上の特徴を知る
当たり前ですが人間の性格がたった4つに分類されることはありませんし、複数のタイプを併せもつ人や、立場や役割や接する相手によって表出するタイプが変わるというタイプも珍しくありません。
ですから、これらのタイプ分けは「この人はこのタイプだからこう接すれば良い」というマニュアルではなく、あくまでも人はそれぞれに特徴や得手不得手があり、好ましい接し方が変わるという多様性を理解するために使います。
例えば私はコントローラータイプなので、サポータータイプのメンバーと話す時は特に注意をします。
なぜなら私が自分の主張を話ししすぎるとサポータータイプの相手は自分の感情よりも私の意見に同調しようとして、自分の本当の気持ちや意見を心に仕舞い込んでしまうことがあるからです。
このようにタイプ分析は自分と相手のコミュニケーション上の特徴を知ることで、緊張、抵抗、対立、不満、齟齬といった問題を予め取り除くという成果が期待できます。
これを読んで「自分はどのタイプなのか?」「うちの会社のメンバーはどのタイプか?」と考えた方もいると思いますが、タイプ分けはチェックテストのサイトやアプリなどもあるので、一度調べてみても面白いかもしれません。