月刊ゴルフマネジメント連載#24 対立を活かす。コンフリクト・マネジメント

ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』さんで、人材育成に関するコラムを連載させていただいております。

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第24回はのテーマは『対立を活かす。コンフリクト・マネジメント』です。

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コンフリクトの主な原因

いかなる組織においてもコンフリクトは避けることは難しいのですが、ハーバード・ビジネススクールのジェームズ・ウェア氏とルイス・バーンズ氏は、組織内におけるコンフリクトは「実質的問題」「感情的問題」の2つの原因で起こると述べています。

実質的問題が引き起こす対立

例えば上司と部下といった上下関係や仕事内容の違いなどが引き起こすコンフリクトです。会社内では一人ひとりが立場や役割も違えば、目標や条件も異なりますから、意見が対立するのは当然です。

例えばゴルフ場では良いコースメンテンナンスを維持するには人手や費用がかかりますから、メンテナンスに責任を持つ管理課は多くの費用を要求する一方で、支出を管理する立場にある支配人や経理部門は多額の費用をかけることに反対するというケースは容易に想像できます。このように「品質 vs コスト」「効率 vs サービス」「顧客満足度 vs 従業員満足度」は典型的なコンフリクトの種と言えます。さらには個人間のコンフリクトだけではなく、セクショナリズム(=会社全体の利益ではなく、チームの利益を優先して行動する状態)によって部門間でのコンフリクトを引き起こすケースもあります。

例えば「顧客サービス向上のために新たなサービスに協力してほしい」と依頼したところ、「忙しいから協力できない」と返答が返ってくる。この場合「自分の本来の仕事(役割)ではない」「協力することで得られるベネフィットが示されていない(条件)」がコンフリクトの原因と考えられます。

こうした方針、手順、役割、責任、条件といった事業運営上の意見の食い違いがコンフリクトのきっかけになります。

感情的問題が引き起こす対立

一方で感情的問題は、当事者が互いに相手に抱いている印象や認識、感情によって発生する「気持ち」のコンフリクトです。価値観、考え方、認識の違いは、例えば目標に対して「90%しか達成していない」のか、「90%も達成できた」のかでその後の行動や発言が大きく変わってしまうことは容易に想像できます。仮に部下は90%も達成できたのだからもっと評価されるべきと考えたとしても、上司は90%しか達成できなかったのだから評価できないと考えるかもしれません。

こうした価値観や認識の相違はやがて「あの人は私達のことを分かっていない」「あの人はいつも厄介な仕事を私に押し付けてくる」「あいつはいつもオレに対して反抗的だ」という具合に、問題を感情的問題に転換してしまい、解決が難しくなるケースがあります。

コンフリクト・マネジメント

人vs人、あるいは組織vs組織であれ、私達がコンフリクトに直面したときにとる態度は以下の五つに分類されると言われています。

競争

パワーや権威で圧倒し、相手に自分の意見を強制しようとする

受容

自分の利益や要求を取り下げ、相手の主張を優先して対立を避ける

妥協

双方が要求水準を下げて、自分の利益・主張の部分的な実現を目指す

回避

対立する状況そのものを回避し、解決を先送りする

協調

対立点を明確にしつつ、お互いの利益を尊重する建設的な議論で解決する

コンフリクト・マネジメントのゴールは相手と争ったり、対立を安易に避けるのではなく、「協調」のアプローチをもって問題解決にあたることと言えます。

コンフリクト解決への3つのポイント

コンフリクトへの対処法については様々な手法が発表されていますが、「感情的問題」を切り離して、お互いの利益や、解決に向かいましょうというのが共通のセオリーです。

問題は人にあらず

コンフリクトが起こったときに真っ先に避けるべきことは「自分は正しく、相手が間違っている」、「原因は正しい理解をしない相手にある」と決めつけてしまうことです。このように価値観や人間性を否定されると、相手はより感情的になってしまい感情的問題が高まり、やがて議論の余地がなくなってしまいます。

対立の原因は「人」や「相性」ではなく、「方針、手順、役割、責任、条件、仕組み」などの事実の中に見つけることができます。まずは相手の人間性を尊重しながら話し合いをすることが大切であるという前提をしっかりと覚えておきましょう。

対案を歓迎する風土

その上で、冒頭に書いた通り、組織融和を大切にする日本企業では「反対意見」に対して異様なまでの不快感を示す傾向があります。しかしどんな場面においてもいくつかの案の中から最善案を採用することはもちろん、対案との比較検討の中でアイデアの弱点を強化していくというプロセスは、企業にとって本来歓迎されるべき過程です。反対意見や反論は言う方も勇気をもって発言しているケースがほとんどなので、そうした意見をまずは評価する、反論に対してまずは感謝を述べる、などの風土を作っていくことが重要です。

早期に解決する

コンフリクトへの対処で最も優先させたいことは「早期に解決する」ことです。対立が長期化すればするほど「実質的問題」から「感情的問題」への転換が加速していきます。そうならないように、コンフリクトを認識した際は早期への対応が大切です。

特に最近はメールやチャットでのコミュニケーションが増えたせいでオンライン上での対立も増えています。少しでも対立の気配を感じたら直接話すなどして対立そのものを回避することも重要です。

コンフリクトが起こると組織は緊張しますし、時に強いストレスやプレッシャーを感じることもあります。しかしそうしたコンフリクトのネガティブな部分だけではなく、ポジティブな部分にも目を向けることで、組織内で避けることの出来ないコンフリクトを武器にすることができます。

ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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