今年で5回目となる名古屋産業大学と名古屋経営短期大学合同のゴルフ授業を実施しました。
2016年から大学の「スポーツ演習」という科目で非常勤講師としてゴルフの授業を行っています。
学生たちは3日間の集中講座でゴルフの授業を受けることで単位が認定されるという全国的にも珍しい取り組みです。
今年はコロナ禍ということもあり、大学の授業もほとんどがオンラインで行われているため、学生たちにとっても貴重な対面授業の機会となりました。友達とも会えない期間が続いていたので、学生たちが仲を深める機会という意味でも、ゴルフというスポーツの進化が発揮できたのではないかと思います。
大学でゴルフ授業をしようと思ったわけ
こちらの記事でも書いていますが、現在業界をあげて行っているジュニア育成なども大切ですが、小学生や中学生は現地までの送迎の問題があり保護者や教員に負担になりますし、ジュニア世代ではアルバイトもできないのでその後ゴルフを続けるには親御さんの金銭的な支援が必要になります。
一方で大学生は車を持っていなかっとしても、現地まで公共交通機関で自力でくることも出来るし、アルバイト代程度でも練習にもいけるので支援の負担が低いことや、数年後には社会人となり消費者としてのゴルファーになる可能性を秘めていますから支援する期間も短いという特徴があります。
またジュニア育成の大きな目標の一つには、スター選手の育成による業界の活性化が挙げられていますが、石川遼プロや、宮里藍プロ、松山英樹プロら、近年多くの大スターが誕生しているにもかかわらずゴルフ人口が減少しているという現状を見るとその効果は限定的と言わざるを得ません。
ですからプロを育てるジュニア育成ではなく、社会人一歩手前のゴルフ未経験の大学生にゴルフに触れる機会を提供することで、少しでも将来のアマチュアゴルファーを増やす種まきができればと思っています。
ゴルフは学生が社会人になってから始めたいスポーツ第一位でもあります。
大学ゴルフ授業の課題
今年で5回目となりましたが、どこの大学でも簡単にできるか?というとまだまだ多くの課題があります。
場所の問題
一番大きな問題は場所(ゴルフ場)の問題です。この授業を開催させていただいている愛知県のウッドフレンズ森林公園ゴルフ場は名古屋市内にまたがる好立地ということに加えて、大学からも数キロの距離に位置しています。最寄駅からも送迎バスで5分程度で到着するため、学生が自宅から通うことが出来ます。
このような条件はもちろん稀で、ほとんどの場合は実現しようと思うと、大学から遠く離れた郊外まで移動する必要があることや、毎日通うことが出来ない場合は宿泊施設を利用する必要がでるので金銭的な負担も大きくなってしまいます。
道具の問題
2つ目は道具の問題です。ゴルフ未経験の学生が使えるクラブを数セット、場合によっては数十セットを用意する必要があります。私の授業では1番ウッド、7番アイアン、ウェッジ、パターの4本のみを使用し、メーカーさんに古くなった試打クラブを提供していただくことでこの問題をクリアしています。
教員の問題
最後は教員の問題です。単位を認定する必要があるのでゴルフといえども授業として行う必要があります。しかもこの授業は「プレーできるスキルと知識を身に着ける」という学習目標を掲げているので、3日間という短い時間でルール、マナー、スイング、歴史、用語、などを全て網羅します。ゴルフの専門家レベルの知識や技術がいるので、プロゴルファーやゴルフコーチの活躍の場になっていくことも期待しています。
大学ゴルフ授業の将来性
ゴルフ授業の将来性について言えば、私は大きな可能性があると思っています。
ゴルフは社会人になってからも続けられる「生涯スポーツ」として学生時代に身に着けるスポーツとして最適であることや、デジタル時代に必要性が高まるソーシャルなコミュニケーションの機会の提供、さらに学生にも人気がありゴルフ業界も若いゴルファーを取り込みたいというニーズの一致もあります。
3日間の指導で、毎年最終日である3日目には全ての学生に170Y地点から5ホールをプレーしてもらうのですが、平均で1ホール5-6打で回れるくらいにはなります。このくらいでプレーできればもし将来ゴルフに誘われてもなんとかプレーできるレベルと言えるのではないでしょうか。
上に挙げたような課題はまだ残りますが、ゴルフ場、メーカー、プロゴルファーがそれぞれに余剰資源を提供すれば解決する課題ばかりなので、産学の連携を期待しながら自分ができることを続けていきます。