ゴルフ場のUSP(Unique Selling Proposition)を考える

USP(Unique Selling Proposition)はマーケティング用語で、その商品やサービスが持っている独自の強みを意味します。

差別化、独自性、競争優位性、模倣困難性、などとも似ていますが、USPの定義として「自社が顧客に選ばれる理由」と考えるとわかりやすいと思います。

目次

USP(Unique Selling Proposition)はなぜ重要?

ゴルフ場だけに限らずどこも同じようなサービス、同じようなプロダクト、同じような施設、同じような価値、を提供している場合が多く、その結果「料金」だけが唯一の顧客の購買決定要因(Key Buying Factor)になっているケースが多く見受けられます。

料金が購買理由になってしまうと、企業はUSPを「価格」に依存せざるを得ず、結果的に収益性が低下し、設備投資や人的投資ができなくなり、サービスや魅力がさらに低下し、さらに値下げをしないと集客できないという悪循環に入ってしまいますし、自然と価格競争に加わってしまうことで自社が相対的に割高となり顧客離れが加速します。

この負の連鎖を断ち切るためにも、自社が選ばれる理由(USP)を定義することは、マーケティングのみならず、企業活動においても非常に重要であると言えます。

USPの一般的な要件

一般的にUSPは以下の要件にまとめられます。

価格

価格の安さは選ばれる理由になります。これは単に安いということではなく、価格と価値のバランスが優れているという場合も含みます。インターネットでは簡単に価格順にソート(並び替え)できるので価格の優位性は存在感を増しています。

品質の高さ

価格ではなく品質を求めるユーザーは一定の割合で存在しています。価格の高さを受容してでも質の高いサービスや体験を提供します。ゴルフの場合はハード(クラブハウスやコース、練習場など)の質の高さが挙げられます

スピードの速さ

例えば、短い時間でプレーが終わる。プレーの進行が良い。予約の即時性。というのも価値になります。ある海外のゴルフ場ではプレー時間の短さをウリにするためにバンカーや池といったハザードを全て埋めたというコースまであります。

サービスの充実

サービスは無形なものを指します。例えばフロントやキャディさん、レストランスタッフの接客はもちろん、予約の取りやすさや、イベントやコンペの開催しやす、プロショップの充実度などもこれに該当します。

カスタマイゼーション可能性

簡単に言えば「融通がきく」という意味です。後述しますが会員向けのコンシェルジュサービスを実施しているコースもあります。

保証の充実度

海外ではレインチェック(雨の日は割引クーポンを出す)や、グリーンの更新作業をしている期間に来場したゴルファーのフィーを割り引くなどの対応をしているコースが多くあります。これはプレイヤーの満足を保証するという姿勢が伝わる効果的な施策です。

ラインアップの広さ

早朝プレー、薄暮プレー、9ホールのプレー、2サムのプレー、などのプレースタイルのラインナップの広さもUSPになります。またゴルフ以外のサービスとして食事のみの利用や、フットゴルフ、ジム、菜園、など来場の目的となる選択肢を提供することも大きな価値です。

利便性

ゴルフ場の場合もっとも貢献している利便性は「近い」という距離という物理的な利便性ではないでしょうか、この他にもクラブバスや、キャディバッグの保管サービス、Wifiやオフィススペースの設置なども利便性と言えます。

専門性

プロトーナメントの開催や、有名設計家のデザイン、歴史や権威など専門家が評価するようなポイントを持っていることもUSPになります。

ゴルフ場の成功したUSPの事例

メンバー向けサービスというUSP

Hazeltine National Golf Clubはミネソタ州チャスカにあるゴルフクラブはロバートトレントジョーンズの設計によって1962年にオープンしました。

2016年にライダーカップを開催したプライベートクラブで、原則的にメンバーの同伴がなければプレーができませんが、「Director of Member Engagement」といういわばコンシェルジュのような係がおり、メンバーへのイベント案内はもちろん、他のメンバーとのペアリングなどコミュニティマネージャーのような役割を持っています。

このクラブ以外にもこうした役割を持つプライベートクラブは多く、このメンバーエンゲージメントディレクターが「サービスの充実」や「室の高いサービス」というUSPを提供しています。

また同クラブはゴルフ場におけるデジタルマーケティングのケーススタディとしても頻出する倶楽部です。

ラインアップの広さというUSP

ゴルフ競技はスコアをつけて回るだけという単調なものになりかねません。
チャリティーイベント、親子イベント、カップルイベント、フレンドリーペアマッチといった交流を創出するイベントから、1日で4つのコースをプレーするゴルフマラソンや、ショートゲームだけの競技会、Wine & Dine(プレー後にワインと夕食を愉しむイベント)、サンタクロースのコスプレでプレーするチャリティーイベントなど、アイディアを駆使して幅広い楽しみを提供するユニークなイベントが世界では点在しています。

ゴルフ場は何を売るのか?

ゴルフ場が売っているものは大別すると2つに分けられます。一つは「プレー枠」、もう一つは「会員権」です。

プレー枠はそのまま18ホールのプレーをする機会の販売です。
プレー人数×単価=売上となります。

一方で、会員権は会員権自体は債権の場合が多いので省いたとしても、名変料(登録料)や年会費が売上になります。
たとえば一人の会員が生まれるとゴルフ場は名変料とその後の年会費をこの会員から受け取れます。

会員権は流通量が決まっていますから、会員権を多く売るためには流動性が必要です。要するに売り手が現れない限り、買い手が現れることはありません。

あなたのコースの会員の稼働率や流動性はどのくらいでしょうか?
サービスの改善を理由に年会費の値上げをすれば、一定の退会者が出てきます。
彼らは値上げに不満で退会するのかもしれませんが、値上げという一つの出来事がトリガーになって退会するのです。
しかしサービスや施設の改善がされれば、それを魅力に感じて新たにメンバーになる顧客が現れます。
そうすると市場には会員権が流通していますから、それを求めた見込み顧客は会員になり、値上げされた年会費と名変料を支払うことになります。

USPは商品やサービスが持っている魅力です。
それは会員制ゴルフ場であれば会員権の魅力であり、パブリックコースであればプレー枠の魅力ということになります。

会員制ゴルフ場なのにプレー枠に特徴をつけているジレンマをUSPで抜け出してみませんか?

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、コーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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