2025年11月にサンフランシスコの「The Olympic Club」と「California Golf Club = 通称Calclub」を訪問しました。2コースとも世界トップ100コースの常連であり、その歴史や名誉を調べれば枚挙にいとまがないほどです。
今回はそんなアメリカを代表する2コースで実践されていた「Combo Tee(コンボティー)」について、日本のゴルフ場でも活用できるケーススタディとして紹介したいと思います。

Combo Tee(コンボティー)とは?

こうしたアクセサリーにもプライベートクラブのこだわりを感じる。
18ホールのうち数ホールをバックティー、残りをミドルティー…というように、複数ティーを組み合わせて1ラウンドの“実質距離”を調整するティーオプションの運用です。
コースによっては、Combination tees(コンビネーションティー)、 Blended tees(ブレンデッドティー)、Hybrid tees(ハイブリッドティー)という呼称が使われる場合もあります。
コンボティーシステムは、実際にUSGAでも提唱されている適切なティー選択を可能にするための選択肢の一つとされており、これはUSGAが推奨する各ティー間の400Yギャップを埋めるための方法として認められています。
Combo Teeの運用
Comboティーを「オフィシャルなティーオプション」として成立させるカギは、そのComboに対応したCourse Rating / Slope Ratingが用意されていることです。
USGAのRules of Handicappingには、“異なるティーを組み合わせてプレーする場合、受理されるスコア提出には現行のCourse Rating / Slope Ratingが利用可能である必要がある”旨が明記されています。これはComboティーは“気分で混ぜる”のではなく、World Handicap Systemの前提(Rating/Slopeの整備と提示)に沿って制度的に設計することで、競技性と公平性を担保できるということです。
The Olympic Clubのスコアカード


The California Golf Club of San Franciscoのスコアカード


Combo Teeの有効性

ゴルフコースのプレー体験を見直すうえで、単純にプレーするティーマークの位置を変えるだけでなく、複数のティーセットを組み合わせてプレー距離のバリエーションをつくる仕組みは、メンバーのスキルや気分に応じた選択肢を提供することを目的としています。
従来のバック/レギュラー/フロントといった固定的なティー配置ではなく、特定のホールだけを前方・後方で使い分けることで、同じコースでも全く異なるラウンド体験も演出できます。
さらに重要なことは、こうした工夫を特別な設備投資を伴わずに実施可能であることです。
会員満足度やラウンドの多様性向上に寄与すると期待されているコンボティーは、米国を中心にはティーオプションの最適化や、プレーの楽しさ、スピード向上を図る動きとして広がっています。
実際に筆者が訪れたOlympic Clubでは女性ゴルファーに対してだけでも、3つのティーエリアで5つのティーオプションが提供されており、ティーイングエリアの面積や数を削減しながら顧客満足度が向上するだけでなく、施肥や施薬といった環境や労働の持続性も向上させるソリューションとして注目されています。
またデザインに関しても、ティーイングエリアというアイテム数が減ることで拒否表示版などの人工物が減り景観が向上するだけではなく、ティーという可変アイテムが本来持つべき距離の戦略性を損ねることなく配置することが可能になります。
女性ゴルファーの参加率の増加や、ゴルファー年齢の高齢化など、ティーオプションを増やす施策は日本のゴルフ場にとって必須の対策となっていますが、ティーイングエリアを増やすことは造成コストと維持コストという2つのコスト増加から躊躇するコースが多い中で、最低限のティーを組み合わせて新たなティーオプションを作り出すコンビネーションティーは、今後日本のゴルフ場にも普及していくかもしれません。


