こちらのブログはThe Golf Retreatに掲載された内容を転記しています。
今回は「完璧なゴルフスイング理論ってあるのか?」というテーマでお話しします。
ビデオは本文をセミナー形式で紹介したいものです。
完璧なゴルフスイング理論の定義
・誰にでも合う。
・時代によって変わらない。
とすれば、現時点では無いと思います。
身体的特徴
まず一つ目に身体的な特徴が挙げられると思います。
例えば男性と女性でも骨格、体力、筋力、柔軟性は違いますし、ジュニアゴルファーとシニアゴルファーでも当然変わってきます。
雑誌を見るとプロゴルファーのスイングのここを真似ようという解説をよく目にしますが、やってるんだけど「思うようにうまくいかない」という方も多いと思います。それは参考にしている人と身体的特徴が合っていないという可能性も高いのではないでしょうか?
身体的特徴に合わせて教え方を変えていきましょうという。ゴルフ理論はいくつも存在しており、様々なゴルフ理論って身体的特徴に合わせてアプローチを変えていくゴルフ理論はありますが、それでもやはり完璧とは言えません。
スイングの発達段階
二つ目の理由は、スイングの発達段階です。
初心者は一般的にクラブを平行運動で動かすケースが多く、体のスウェイも多くなるので、「ボールをよく見なさい」、「頭を動かすな」などのスイングの中に回転運動に必要な軸を作るという動きに関するアドバイスが多くなります。
次に中級者から上級者に発達していく段階になると、支点をつくるためのアドバイスが多くなります。
スイングを回転運動で出来るようになると、体とクラブが同調して動くため、飛距離を出すためにクラブのスピードを上げようと思うと、体も速く大きく回すことになり、結果的に体も大きく動かしてミスも出るという、トレードオフの関係が発生します。
それを防ぐために、体の捻転角度を保ったままスイングする動きになり、軸を傾けるような打ち方になってきます。
プロや上級者のスイングに見られるSide tilt(側屈動作)の動きはこのためです。
それには、軸の中に1点動かない場所を作るってことで、再現性とクラブの運動効率の両方を獲得します。
このように初級者から中級者へ発展していく段階と、中級者から上級者に発展していく段階で、スイングのアドバイスは変わってくるのです。
時代によって変わる
3つ目の理由は時代によっても変わることです。
時代によって変わる理由は2つありますが、まず1つ目はクラブの進化です。
昔のクラブは、クラブ全体の重心が高い位置にありました。
クラブフェースの上の部分でボールを当てないと、ボールも上がらないし、距離も出ないので、上から打ち込むように打っていました。
クラブ全体が軽量化、低重心化されてくると、入射角を緩やかにする打ち方が主流になります。
このように、今後も様々な道具が登場するたびに、適正な打ち方が変わっていく可能性があります。
時代によって変わる2つ目の理由は「解析技術の進化」です。
私がコーチを始めた15年以上前は、パソコンによる画像解析が最新でした。
今と比べると、平面的でしたし、数値化されるようなデータはなく、画像で見て、比較して真似ていく手法です。
それが今では弾道解析、動作解析が導入され、スイングの情報はかなり細分化されましたし、3D解析によって立体的に捉えることができるようになりました。こうした進歩によって新たな事実が分かると、これまで常識と言われていた教え方が変わっていきます。
まとめ
スイング理論というのは、身体的特徴、スイングの発達段階、そしてクラブやテクノロジーの技術革新によって、常に変わります。
これが完璧なスイング理論が存在しない理由になっているのではないでしょうか。
そしてスイング理論と同じように私たちの体も日々変わります。
年齢と共に、体や、スイング、ゴルフへの取り組み方が変化していく中で、自分に合うゴルフ理論を探求する。
そんな探求を楽しむ気持ちで、様々な情報に触れられると、ゴルフライフもさらに充実するのではないでしょうか?