もしあなたがゴルフで100を切れないなら「ゴルフのバイエル」をやってみよう。

皆さんは「英会話」や「楽器演奏」などの新しい技能の獲得に挑戦したとして、それが出来るまで続けられますか?

そうです。私が昔サーフィンやギターの上達を諦めてしまったのも、上達するまでの時間が長すぎたからなのです。ようするに短期間で上手くならなかった。
皆さんも私と同じように上達が実感できなくて諦めてしまったことの一つや二つきっとありますよね?

ゴルフも同じで、コナミスポーツクラブさんの調査(全国の20代から40代までのゴルフを辞めた方を対象にしたアンケート)によると、真っ直ぐ飛ばない23%、飛距離が出ない16%、スコアがよくならない12%と約半数以上の方が技能の獲得につまづいたことが理由でゴルフから離れてしまっています。

目次

技能の習得と学習曲線

人が技能を身に付けるために学習量と習熟度の関係性を示した学習曲線(learning curve)では、習熟度は一定の割合では増加せず、学習の機会が多いほど習熟するスピードは早くなるので、始めた頃は上達するまでに時間がかかるという事実が分かっています。
(ちなみにこの学習曲線はビジネスでも従業員の生産性を予測するために使われます。)

この学習曲線で重要なことは何でしょうか?
一つは学習の効果(反応)が出るまでには一定の練習が必要ということ、もう一つ重要なことは、横軸は練習の「時間」ではなく「回数」であるということです。いいですか「時間」ではなく「回数」です。
これが何を意味しているか分かりますか? 全ての基礎練習に共通するとても重要なこと

全ての基礎練習に共通するとても重要なこと

ゴルフから少し話がそれますが、例えばピアノでは「バイエル」という200年以上前から続く基礎の曲があります。これはピアノ独特の指運びを覚えるための練習曲で、この曲をできるまで何回も繰り返します。これにはピアノ演奏に必要な指運びの基礎が集約されているので、ピアノ演奏者の必須科目になっています。このバイエルの1番は1曲でわずか20秒程度で43曲で構成されています。

同じく英語だと「フォニックス」がこれにあたるのではないでしょうか。ネイティブが子供の頃に必ずやるアルファベットと発音の練習で、「A,aa,Apple」という具合に声に出して発音を憶えます。これもAからZまでで3分程度ですが、子供たちは幼稚園や家で何度も繰り返します。

クラシックバレーだと「バーレッスン」というのが基礎になるそうです。バレエを始めたその日からプロになっても欠かさずやる基礎練習でバレエ特有の姿勢や動きを覚えバランスを整える効果があるそうで初心者の頃はバーレッスンをひたすらやるそうです。ちなみにバーレッスンは1つが3分程度、全部で10項目30分程度で構成されています。

こうしてあらゆる技能の基礎と言われるものを並べてみると分かりますが、基礎練習というのは短い時間で何度も繰り返せるシンプルなものでありながら、その学習において最も重要なエッセンスが詰まっているという共通点があります。

学習曲線の理論から見ても、いきなり1曲数分の音楽を演奏するよりもわずか20秒の曲から始めた方がタスクをこなす回数が増えますし、英語の文法や単語を何時間もかけて覚えるよりも3分で1周出来る発音トレーニングと26単語の学習は効率が良いのです。

このようにあらゆる技術を身に付ける上で最も重要なことは、学習初期段階で短時間高品質な基礎練習を1回でも多く繰り返すことなのです。

ゴルフにおける最も重要な基礎練習

ではゴルフではこれらのような基礎にあたるものはなんでしょうか?
トッププレイヤーでも毎回必ず取り入れていて、短時間で繰り返し練習が可能で、スイングのエッセンスが詰まっているもの。

そうです。アプローチです。
特に30-50y(女性だと20-30y)程度のミドルレンジのアプローチは、テンポやリズム、軌道や最下点のコントロール、遠心力の体感、などスイングに必要な要素が全て入っています。

さらに重要なことは回数が簡単にこなせることです。
みなさんも試しに練習場でドライバーだけ1時間の練習した場合と、アプローチだけを1時間練習した場合で、それぞれ何球打てたか数えてみてください。おそらくアプローチ1時間の練習の球数はドライバー1時間の練習の球数の3-4倍以上になるはずです。

しかもドライバーはティーアップしているので、最下点が不明瞭なことや、狙った距離や方向に打てたかというフィードバックがしにくく、疲労も残りやすいし、マメができたり関節を痛めたりと怪我もしやすいので回数をこなすことができません。初心者の練習としては最も不向きな練習なのです。(飛ぶから楽しいですけどね 笑) 100切りのためのオススメの練習法

100切りのためのオススメの練習法

学習曲線にならって上達を目指すのであれば、ゴルフ技能の初期段階(ゴルフ歴ではないですよ)では、徹底的にアプローチをやった方が圧倒的に上達します。

こちらはタイガー・ウッズの試合前の練習ルーティーンの動画ですが、タイガーも必ず50-60y程度のピッチショットを最初に20球程度毎回やります。これは彼自身もスイングのバランスを確認するために毎回欠かさずにやるルーティーンだとインタビューで答えています。

計算上タイガーウッズはこのミドルレンジのアプローチ練習だけで最低でも週に100球やっていることになります。年間にしたら5200球以上です。さらに彼のゴルフのキャリアで計算したら、この練習をどれだけやってきているか想像できます。

もし皆さんが100が切れなくて悩んでいるのであれば、ゴルフのバイエル(中距離のアプローチ)をひたすらやってみてください。
目標の球数は1000球です。1000球くらいでこの練習の意味が理解できます。
そして1000球がクリアできて、この練習の意味や効果が実感できれば、あとは勝手に続けていくことになるので心配いりません。とにかく最初の1000球が肝心です。

科学的に立証されたと言われるナントカ理論やナントカ打法も結局は何度も回数を重ねなければ身に付けることはできません。
だからこそもっとも科学的に立証された練習方法を取り入れてみてはどうでしょうか?

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

目次
閉じる