世界から学ぶタイ人が作る新しいゴルフの魅力

タイのゴルフ場にも仲の良いタイ人の友人が増えてきました。
仕事を通じて知り合い、今では共に食事やゴルフをする仲になり、内側からみたタイのゴルフ場は面白く魅力的でした。

目次

インバウンド需要


SpringfiledroyalのBomとLikeviewgolfresortのKarnと。

タイのゴルフ場で特に高価格とされるコースは90%が外国人によるゲストで占められています。
当然、彼らは海外へのセールスに出かけ、英語で交渉をしていて、海外のマーケットについて調査するソースを持っていて、グローバルマーケットにおける最新のトレンドを把握し、顧客がゴルフに何を求めているか知っています。
彼らは日本のマーケットだと、50才以上の男性ゴルファーが多く、ゴルフの他にもナイトライフや、食事、送迎のサービスが必要だという認識や、一方でヨーロッパのゴルファーは夫婦や家族で楽しむケースが多く、プールやスパ、ホテルのファシリティを重視するという具合です。
話をするとこの他にも、中国、韓国はもちろん、オーストラリアを中心としたオセアニア圏にも精通しています。

優秀なマネージャー

そして何より話していて驚いたのは、彼らのキャリアです。
BomはTGRやGEN-TENでも利用しているスプリングフィールドロイヤルカントリークラブのイベントマネージャーですが、年齢は35歳で10年前にアメリカの大学を卒業して、PGA of Americaの複数のサティフィケートを取得しています。

バンサイにある2年前にオープンした5スターコース「ロイヤルバンパイン」のゴルフマネージャーのエドも45歳でニュージーランドのコースでゴルフコースマネジメントを学び、いくつかのコースでGMを歴任しています。

彼らをはじめとした多くのタイのゴルフ場マネージャーは海外の大学やゴルフ場で学び、そしてそれをタイのゴルフ場の経営に活かしている。もちろん多様性の象徴である女性のマネージャーも多いのが特徴です。
現場のワーカーレベルになると英語が話せないというスタッフも多いですが、マネジメント層は立派な専門知識やキャリアを持っている人が多く、タイではマネージャーは優秀だけどワーカーのマネジメントで苦労するというケースが多いです。

一方で日本のゴルフ場では海外での就業や留学の経験があるマネージャー、さらに女性マネージャーとなると希です。
しかし現場レベルでも基礎力がしっかりしていて、従業員の平均レベルが高く、マネジメント層との能力さがほとんどないケースが多いです。
実際にタイのコースと比較すると、タイはオペレーションが優れている印象が強く、日本は人材などのソフトが優れています。

収益源は現地のランドオペーレーターからの送客

ちなみに余談ですが、タイのゴルフ場は基本的にB2Bビジネスで、ゴルフ場メンバー(会員)もいますが、基本的には旅行会社やランドオペレーターと契約を交わし、彼らからの送客を重視しています。
日本のB2Cモデルは会員の高齢化や、国内ゴルフ人口の減少でそのビジネスモデル自体を見直さなくてはいけないので、この点も参考にしたい部分だと思います。

そしてコースデザイン、メンテナンスはもちろん、クラブハウスや練習環境などの設備もデザインや機能面で他の国に比べても優れています。
これは前述したようにタイのゴルフ場は世界中からゲストを迎えるために、世界中のゴルファーのわがままを実現していることが大きいと思います。その情報収集や、実行を担うのが海外でゴルフを学んだ若くて優秀な人材たちというのも理由です。
そこに仏教国であるキャディや、スタッフのホスピタリティが加わり、世界有数のゴルフディスティネーションを作り上げています。

日本のゴルフ場が学ぶべき多様性への理解

一方で日本はどうだろうか?
最盛期の90年前後には1200万人のゴルファーがいたと言われていますが、需要は100%日本人。日本人の都合の良いように発展してきたのが日本のゴルフカルチャーです。
当時の日本人の都合というのは、社交による利用がメインで、その結果豪華なクラブハウスや、その費用を賄うための債権としての会員権制度、ステータスを可視化するためのジャケット着用などのルールも今なお残るニーズかもしれません。

そして世界のゴルフから学ぶタイに対して、日本は今だにその頃の顧客がメインターゲットとなっているために電磁誘導カートなどの高齢者用設備が導入され、本来のゴルフの在り方や楽しさから遠ざかっていく印象があります。

外国人のゴルファーに日本でゴルフがしたいか?と私はよく訊ねるが、ほとんどの外国人はNoと回答します。
料金が高い、コースが狭い、システムがわかりにくい、プレーに時間がかかりすぎて観光が楽しめない。というのがその理由です。

アメリカやオセアニアでは海外からゴルフを学びにくる人たちが大勢いた。
しかし日本はどうっでしょうか?世界で2番目と言われるゴルフ人口とコース数を有する日本に、彼らが学びに来ないのは何故でしょうか?
いま日本は人材不足で海外からの研修生をゴルフ場にも迎えようという動きがありますが、しかし彼らにも選ぶ権利があります。
どうせ働くなら将来に活かせる知識や経験を得られる場で働きたいと思うし、多様性に理解が高い場所に身を置きたいと考えるのが普通だと考えた時、日本はその中で、ゲストだけではなく、労働者にも選んでもらえるだろうか?

事実として、英語とグローバルマーケティングのスキルを持ち、海外でゴルフ場のマネジメントについて学んだ人材と、現場の経験にたより従来の顧客の年齢に合わせていくだけの人材とで、市場が違うと言えども、どちらが顧客や取引先に対して良い影響を持続的に与えるのかは目を背けずに考えなくてはいけない問題です。

以前にタイのあるゴルフ場の来場者数や売上のデータを見せてもらったことがありますが、収益や来場者数の数字を見ていると、すでに日本のゴルフ場を上回っていました。
日本のゴルフ業界はすでに東南アジアのゴルフ場に「魅力」という部分で遅れていることを自覚しなくてはいけないのかもしれません。

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この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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