月刊カジュアルゴルフ5月号に掲載されたコラムです。
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いよいよ開幕が迫っているマスターズ・トーナメント。今年は松山英樹選手の連覇にも期待がかかる一方で、世界ゴルフ界では会場となるオーガスタ・ナショナルのコース改修についての議論が熱を帯びてきています。
オーガスタ・ナショナルGCは世界で最も有名なコースの一つですが、今年は11番と15番ホールの改造によりコース全体の距離は7,475ヤードから7,510ヤードに延びることが決まっています。
歴史的な価値のあるゴルフコースが近年のクラブやボールの進化や、選手のトレーニング知識の向上によって変更が加えられていくことについてオーガスタ・ナショナル会長のフランク・リドリー氏は「歴史的に見ても必要なコース改修を行うことについてオーガスタ・ナショナルにためらいはありませんが、神聖な場所があまり早く変わっていくのはためらわれます。」と述べています。
この悩ましい発言の背景にはゴルフコースの距離を伸ばすことについての用地確保の困難性や、管理面積が拡大することによる環境的・経済的な負担、一般プレイヤーのプレースピードや満足度への影響など、コースの距離を伸ばすことにはネガティブな要素が多くあり、オーガスタという世界を代表するゴルフコースが飛躍的に進化する近代ゴルフにどのような対応していくかが注目されているという政治的な意味を含みます。
世界で最も有名なゴルフコースの改修はプレーするトッププロだけではなく、ゴルフビジネスや文化への影響も大きいイベントでもあるのです。