EVEN(イーブン)2022年8月号掲載 持続可能なゴルフ場に向けて、ゴルファーとゴルフ場に変化が求められる時代

スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためのテキストブック。最旬のゴルフファッション特集や、ギアにレッスン、さらにはPGAツアーの情報や海外ゴルフトリップなどを、独自の目線で発信しているEVEN(イーブン)さんの特集ページで「持続可能なゴルフ場に向けて、ゴルファーとゴルフ場に変化が求められる時代」についてのインタビューを掲載していただきました。

また現在顧問契約をさせていただいているレイクグリーンゴルフ倶楽部の伐採木をチップ化して、コースの土壌に還元する取り組みも紹介させていただいております。

ゴルフ場をキレイに維持するためには、大量の水、肥料、薬品、そして散布や芝刈り作業の過程で消費される大量のガソリンなど、環境負荷が不可欠です。

専門的な話なのであまり一般的に知られていませんが、肥料というのは主に「窒素」「リン酸」「カリウム」で構成されており、日本では原料のほぼ100%を輸入しています。

窒素はそれ自体は本来空気中に自然に存在しているものですが、これを施肥(せひ)することで農作物の生産は飛躍的に向上します。こうしたバイオテクノロジー(肥料)の発明によって私達の食料生産は劇的に改善され、日本でも戦後飢餓の問題解決に繋がったという事実がある一方で、肥料の過剰利用は土壌汚染に繋がり(余剰な化学肥料窒素による環境の多様な側面への深刻な影響)、それが深刻な環境への影響を与えているということもあり、グローバルではエコシステムに配慮した有機農法への切り替えも進んでいます。(窒素の環境負荷、国際課題に:日本経済新聞)

こうした施肥によって吸収されなかった栄養素が排水に含まれ、それが海に流れ込むことで、藻が増加し、水分中の酸素濃度を低下させることで海中の生態系に影響を与えていると言われており、USGAやR&Aではゴルフ場で使う肥料のガイドラインなどを設けています。

この流れから環境問題への解決策として管理面積(肥料や薬品や水や人手が必要な面積)を減らし、ネイティブエリア(ウェストエリア)と言われる芝が生えていない自然のままの状態をレイアウトに組み入れるコースが増えてきています。

またこうした非管理エリアを増やしていくことは、ゴルフ場の人手不足問題の解決にも繋がります。

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土が見えていたり、雑草が生えているコース、昆虫や爬虫類がいるコースは、「汚い」「安っぽい」と思われがちですが、本来の自然とは草木や虫や爬虫類の共存があってこそ維持されるものです。

そうした生物多様性を維持するために、一面芝生というコースは本当に美しいと言えるのでしょうか?

ゴルフが人にも環境にもサスティナブル(持続可能的)なスポーツになっていくためには、私達ユーザーの美意識が変わることが重要なのかもしれませんね。

ゴルフ雑誌EVENはこちらからご購入いただけます。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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