コロナ禍で各国のゴルフ協会が示したメッセージの重要性

Covid-19はゴルフが盛んなアメリカ、ヨーロッパ、アジアでも猛威をふるいました。

多くのゴルフ場が閉鎖したり、利用に制限を設けたりという対策をしてきましたが、徐々に感染者数が減少が確認されている最近ではゴルフ場の営業を再開する動きが広がっています。

感染拡大を防止しながらゴルファーと施設を守るために、コロナ時代の新たなルールやプレーマナーを遵守する必要があるとして、3月末にはUSGAが、4月末にはR&Aが、それぞれプレー方法についてのガイダンスを発表しました。

加えて5月3日から再開したタイのゴルフ場やゴルフ協会から日本人向けのルールの翻訳を依頼されたこともあり、私が感じたコロナ禍で各国のゴルフ協会が示したメッセージの重要性について書いてみたいと思います。

目次

R&Aが発表したゴルフプレーにおけるのコロナウィルス対策


R&Aは4月29日に「Golf in the UK under COVID-19 restrictions」というタイトルでイギリスでのプレーにおけるコロナウィルス対策を発表しました。
FBにも内容を投稿しました。

JGA[ゴルフプレーに関する新型コロナウィルスに対する措置のガイダンス(参考)]

R&Aでは、主に感染防止対策とそれがルールに及ぼす影響をまとめています。
例えばルールに定めらたアテストによるスコアカードの交換や署名を必要としないことや、バンカーレーキを使わないことでバンカー内のライが悪い場合はプリファードライを適用するなどです。

“イギリスにおける”と付いているものの、世界のゴルフルールを制定する機関がこうしたオフィシャルなガイドラインを示すことで、ゴルファーは共通の認識でプレーができるのでその与える影響は大きいです。

USGAが発表したコロナウィルス対策

GCSAA(Golf Course Superintendents Association of America = ゴルフコース監督者協会)の発表によるとアメリカほとんどの州でゴルフ場が営業されている。

またUSGA(全米ゴルフ教会)はいち早く3月20日にはゴルフプレーにおけるコロナウィルス感染防止対策を発表しました。R&Aよりも約1ヶ月早くリリースしていました。
「Rules and Handicapping Guidance During COVID-19 Era = COVID-19時代のルールとハンディキャップガイダンス」

このガイダンスについてはR&Aよりも先にUSGAが出していたので、R&AはUSGAのものを参考に作ったのか内容はほとんど同じです。「防止策をとればプレーが可能である」というメッセージが多くのゴルフ場の閉鎖を防ぎました。

タイのゴルフ場が採用しているコロナ対策プロトコル

そして東南アジアのゴルフ新興国であるタイが採用しているコロナ対策です。
世界トップクラスの外国人観光客数を誇るタイでは、外国人にも正確にルールが伝わるようにビジュアルでわかりやすく内容を説明した掲示物が利用されています。

ちなみにこちらが私が翻訳したPPGA(プラチュアップキリカーン県&ペッチャブリー県ゴルフ協会)が作成したゴルフ場営業再開に伴うプロトコル(条例)です。

外国人ゴルファーにもわかりやすく行動を促すためのサイネージ。

ゴルフ場ごとにウェイティングエリアを示す掲示。

SPRINGFIELD ROYAL COUNTRY CLUBより

こうした努力により営業を再開した翌日には200名を超えるプレイヤーが訪れプレーの再開を喜んだそうです。

まとめ

休業規制は州ごとだったものの、いち早くコロナのもとでもゴルフのプレーができるようにとガイドラインを出したアメリカ、そして世界のゴルフ規則制定機関としてゴルフルールへの影響をまとめたR&A、それらを実現すべく分かりやすく伝えるタイ、各国が様々な努力でコロナの影響下でもゴルフ場施設やゴルファー、そしてゴルフの文化を守ろうとしています。

日本は幸いにも緊急事態宣言が出された際にもゴルフ場やゴルフ練習場は休業要請施設からは外れ、また欧州や米国に比べて感染者数や死亡者数が少ないことは良かったのですが、こうした明確なガイダンスがどこからも示されず、ゴルフ場やゴルファーが「これでいいのか?」と不安に思いながらプレーを続けたり、またそうしたゴルフを楽しむ人々を非難するメディアや人も現れて、罪悪感に苛まれながらプレーしたという方も多かったのではないでしょうか。

アメリカ、イギリス、タイのこうした姿勢から学ぶことは、協会や団体が科学的根拠に基づいて決定された条例や提言を出すことで、多くのゴルフ場施設の経営を救い、ゴルファーをメディアや社会的な圧力から守ることができるということです。

これは自社に都合の良い解釈によって利益を誘導しているとみられてしまう可能性がある民間の一企業には難しいので、やはり協会や団体が果たすべき役割であり、それが存在の意味ではないかと改めて思いました。
社会を豊にするスポーツが1日も早く安心して楽しめますように。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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