月刊ゴルフマネジメント連載#32 優秀なリーダーは影響力を理解して、パワーを使いこなす

ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』で、人材育成に関するコラムを連載させていただいております。

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第32回はのテーマは『チームが成長していく過程を示す『優秀なリーダーは影響力を理解して、パワーを使いこなす』です。

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このコラムを読んでいる方の多くは、ゴルフ事業に関わる経営層や管理者の方々だと思います。そんな皆さんはご自身が持っている「権力の力」や「人間関係の力」を自覚しているでしょうか?

マネージャーやリーダーは社内外に対する影響力を駆使してこそ業務を円滑に進めることができます。今回はリーダーの影響力についてお話していきたいと思います。

目次

リーダーが持つ3つのパワー

ゴルフ場を始めとした多くのビジネスは、チームの協力や、他者のサポートが必要な場面が多くあります。同じことを指示しても、社長が言うと皆動いてくれるのに、支配人が言っても全然動いてくれない。そんな経験をしたことはないでしょうか?また階級に関わらず、なぜかリーダーシップが発揮できる人がいますが、その人はなぜ人を動かすことができるのでしょうか?

他者に影響を与える「影響力」について学べば、あなたも人を動かすリーダーになれるかもしれません。

ポジションパワー(権力の力)

言葉の通りポジションパワーとは、組織における制度上の地位・肩書きが個人に持たせる力のことで、それが誰であろうとそのポジション・肩書きという立場に不随する力のことです。

「社長だから」「部長だから」といった、いわゆる上司という立場は、 強制力、報酬決定権、人事権などがあることが特徴で、その会社という小集団において「公共の力」が働くことで、人々に影響を与えることが出来ます。

高い職位にある人の指示に対して、部下が無条件に従うのは、このパワーが影響しており、職位に付いた瞬間からその力が得られる一方で、逆に肩書を失った瞬間にパワーも同時に失ってしまいます。昔上司だった時、あるいは力のある企業に勤めていた時にはみんなお願いを聞いてくれてたのに、転職や退職した瞬間に何の協力も得られなくなったという話をよく聞くのはこのためです。

パーソナルパワー(個人の力)

パーソナルパワーとは、個人としての能力や魅力が持たせる力のことです。

例えば、人間性や人柄、経験や実績、専門性の高い知識やスキルなどが挙げられます。例えば優秀で人望のある人から頼まれるのと、そうでない人から頼まれるのとでは、協力に対してのコミットメント(忠誠心)が変化するのは容易に想像が付きます。パーソナルパワーは前述したポジションパワーとは違い、短期間で容易には得られない一方で、得られたパワーは立場が変わっても持続しやすいのも特徴です。

リレーションパワー(人間関係の力)

リレーションパワーは「他人の力を借りる力」とも言われていますが、一方で「巻き込み力」とも言えるかもしれません。例えば自分には全く知識も経験もない分野でも、その領域に強い友人がいて、その友人に声をかけたら手伝ってくれる。そんな関係性を持った人はいないでしょうか?あるいは圧倒的なパーソナルパワーを持っている人との関係構築が上手でプロジェクトメンバーを集めてくるのが上手という人です。「人脈」と思われがちですが、ただ名刺交換した、SNSで繋がている程度のつながりではなく、依頼できる程度の関係性があるということがこのパワーの源泉です。

誰が言うかが重要

これらのような影響力を駆使すれば、テコでも動かなかった物事が急に進み出すケースがあります。例えば冒頭に挙げたような社長の鶴の一声で一気に動いたというケースが代表例ですが、これは社長命令という「権力の力」によって人々が動かされたという事例です。

一方で、人は強制的に外部からの動機づけによって動かされるとパフォーマンスが低下することが科学的に証明されていますから、このような業務命令や強制力を何度も使い続けると社員のエンゲージメントが低下していくことは容易に想像できます。

その反対にパーソナルパワーを持った人からの依頼は承認欲求や自己効力感などの内的動機を満たしますから、こうした魅力的な人間に依頼されることで高いパフォーマンスを発揮する例は多くあります。

こうした影響力の特徴を理解しておくと、誰が、いつ、どのように伝えるか?というのが組織を動かす、影響力を発揮するために非常に重要であることが理解できると思います。

影響力のパワーを正しく使う

人は「専門家」という人の言うことをついつい聞いてしまいます。「専門知識や経験が豊富」「仕事の質が高く納期が守られている」「分り易く説明ができる」などのスキルはパーソナルパワーを高めます。

ここで敢えて分かりやすくするために書きますが、私の前職はゴルフのティーチングプロですが、プロというライセンス(権力の力)に加えて、海外の留学経験、競技での優勝経験、メディアへの露出などのパーソナルパワー(個の力)が加わることで、受講生の方が「この人の言うとおりにやってみよう」となるということです。このように文字にすると人の動機を制御しているようでいやらしく感じるかもしれませんが、事実として私は受講生に行動を促す仕事をしているわけなので、このことをプロフィールなどで公開していました。ここで皆さんに伝えたい本意は、自らの実績をひけらかして相手を制御するということではなく、目的達成のためには影響力のパワーを正しく使うということです。

もちろんパーソナルパワーの高め方には、こうした知識や技術だけではなく、人柄や勇気など情緒的なパートもありますから、その人に備わっているパワーを認識し、鍛え上げていくということも必要です。

人間性とスキルでの信頼の獲得

3つの影響力を与えるパワーを解説してきましたが、最も重要かつ、持続性が高いのはパーソナルパワーです。これは個人の資産と言ってもいいと思います。

ポジションパワーは多くの場合パーソナルパワーがあれば適材なポジションにアサインされますし、出世のためにはもちろんリレーションシップパワーも重要ですが、リレーションシップパワーもいつもお願いばかりしているとそのうち聞いてもらえなくなってしまいますし、権威のある人や優秀な人との接点を持ったり、その人達の輪(コミュニティ)に入るためには自分自分もそれなり優秀ではなくてはいけませんから、これはパーソナルパワーやポジションパワーのおまけとして付いてくるものというくらいの理解が良いと思います。

ですから、影響力を与えるパワーの中でもパーソナルパワーを鍛えていくことの重要性を理解した上で、特にリーダーとして人間的な魅力(受容力、素直さ、利他心、約束を守る、勇気、責任感)を意識的して人に接することや、専門性の高いスキルを身に着けたり、経験を積んだり、社外でもリーダーシップの実績を積み上げるなどの行動が重要になります。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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