韓国人ゴルフコーチに聞いた、韓国人ゴルファー強さの秘密

ある日スプリングフィールドロイヤルCCで夕方に一人で練習していたら、よく顔を合わせる韓国人コーチのボビーに声をかけらたので、そのまま少しドライビングレンジで話をしました。

ボビーは韓国生まれですが、アメリカの大学に進学して現在もアメリカに住んでいて、冬の間は毎年タイで過ごしています。
主に韓国人のジュニアゴルファーのレッスンをしていて、サムスンなどの企業が主催するジュニアクリニックなどもやっています。

最初はレッスンビジネスの話をしていたんですが、途中から「なんで韓国人には強いプレイヤーが多いの?」という話になりました。

技術的な話、例えば韓国では伝統的にこういう教え方をしているとか、日本とはコーチングメソッドが違うとかあるの?という質問をしていましたが、ボビーが言うには「インターネットで世界中の情報が手に入るし、指導法は変わらないと思うよ」ということでした。実際にどんなことを教えているのか聞きましたが、確かに私も知っているような話ばかりでした。
そんなボビーが指摘したのは以下の3つです。

目次

練習量の違い

まず選手を見ていても、練習量は違うと言います。
実際にこの話をしている時も、すでに夕方5時を回っていてレンジには4、5人が残っていたんですが、私を除く全員が韓国人でした(驚)
欧米人に比べると日本人も練習は好きな方だと思うけど、日本人と韓国人を比較すると練習量は違うそうです。

まず韓国の場合、日本に比べて国内のゴルフ場価格が高い(韓国は人口6000万人に対してゴルフ場が450コース程度、日本は人口1.2億人に対してゴルフ場が2350コース程度と、受給バランスが価格に影響を与えている)ので、その分練習に費やす時間が長くなるので、ゴルフに対する渇望感というか、日本よりもより気軽さがない分だけ真剣に取り組む人が多いように思います。
ちなみに韓国での1ホールあたり年間利用者数は約3500人/年と言われていて、日本の約2000人/年の1.5倍で、プレー料金は日本の3倍程度と言われています。

そしてそんな贅沢なゴルフなので、ジュニアゴルファーがゴルフを続けるのは金銭的にも大変です。
多くのジュニアは協会や企業が育成をサポートしていて、成績が悪くなるとサポートが受けられなくなるそうです。
選手はサポートが受けられなくなると、ゴルフを続けることさえも閉ざされてしまうので、必死に練習するというのがその理由になっているのではないかと言っていました。

実際にボビーも企業がサポートする選手の育成をやっているそうですが、成績が悪くなると企業が主催するジュニア合宿にも呼ばれなくなってしまうので、招集された選手は朝から晩までボールを打ち続けるそうです。
タイでもそうですが、企業がジュニアゴルファーの育成を担うというのもポイントかもしれません。

グローバル目線

もう一つ、韓国の選手が活躍する理由に挙げていたのが、海外での経験が豊富ということでした。

韓国では国内ツアーが盛んではないために、プロを目指す選手はジュニアのうちから海外の試合に参加したり、上述した理由から海外で練習を行うケースが多いそうです。ボビーのアメリカ留学もそのケースの一つだそうですが、アジアンツアーでも日本ツアーでも韓国の選手が活躍しています。

海外での試合に出るメリットは、多様なコースへの対応を求められるために技術が上がること、そしてそのフィールドにいる外国人選手のプレーを見ることで目標設定が上がることが挙げられます。

これは日本人選手も海外に行って帰ってくると「海外の選手の弾道の高さに驚いた」とか「今の技術ではコースに対応できない」というコメントをしますが、まさにそうで、韓国人選手はこれをプロになる子供の頃から経験しているというのが大きいのではないかと言っていました。プロになってからそれを知る日本人との違いは大きいですね。

ちなみに私の場合は、オーストラリアでとんでもなく上手いプレイヤーをたくさん見て、「自分にプロは無理だな」と思ったパターンでしたが(笑)

メンタル

最後にメンタルですが、これはよく言われる話ですが、そんな環境でプロを目指す韓国人選手の家族のサポートも大変で、一家総出でプロになって活躍するのを支援するそうです。
場合によっては家や車を売って支援したり、一族からのカンパで試合に出場するケースも稀ではないそうです。

当然選手には相当なプレッシャーがかかりますが、そういうプレッシャーを成長の糧にできた選手が活躍しているのも強さの秘密かもしれません。

もちろんこれは私たちの世間話の中で話したことなので、他にももっと要因があるのかもしれないですが、今回の話を聞いていて思ったのは、日本はゴルフ場もたくさんあって、ゴルフクラブも簡単に手に入ったりと、ゴルフをする環境では恵まれていますが、子供や学生など若年層の夢を支援するという点においては環境だけではダメで、企業や、団体、家庭が子供たちが成長する機会を与えてあげることや、その夢を信じてあげることが大切なんじゃないかなーと思いました。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

目次
閉じる