その交渉に納得していますか?全てのリーダーなら知っておきたい交渉のフレームワーク

みなさんは「交渉」と聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
もしあなたが買い手であれば相手を打ち負かしてできるだけ安い価格で発注をする、逆にもしあなたが売り手であれば相手にメリットを理解させてできるだけ高い価格で受注する。こうした「勝ち or 負け」というゲームを連想する方が多いかもしません。

目次

交渉マトリックス

交渉のフレームワークとして有名な「Lewicki and Hiamの交渉マトリックス」は、私達が適切な交渉スタイルを決定するために使用できるフレームワークです。

このフレームワークの特徴は、交渉相手との関係性や、期待する成果を軸に、交渉における態度やゴールを変えるという点にあります。

このフレームワークは、HRの専門家Roy Lewickiと、リーダーシップ論の専門家Alexander Hiamが、「Mastering Business Negotiation」という本の中で開発したものです。

例えば、成果を重視したばかりに、交渉結果相手を怒らせてしまって関係が破綻してしまう可能性もあります。
自分に有利な交渉をしたために、大切な人間関係を失ってしまったら、決して良い交渉とは言えません。
ですから、どのような交渉であっても、交渉の状況を明確にするためのフレームワークを準備しておくことで、交渉による後味の悪さを無くすことができます。

回避(Avoiding)

その時点で得られる結果も、得られる関係性も小さい場合は、交渉や決断をすることを先送りにします。
親しい人との感情的になりやすい状況や、成果の見えにくい最初の交渉の場面で戦術としてよく使われます。
そこで相手が落ち着き、成果が見えた時点で別の交渉スタイルに進みます。
交渉を先送りすことも戦術の一つです。

寛容(Accommodating)

得られる関係性は大きいが、成果は小さい。というケースです。
長期的な関係を築くために短期的な不利な条件を飲むという交渉をイメージすると分かりやすいと思います。
この場合には短期的な成果はあきらめ、相手との信頼関係を構築または維持することに目的を切り替えて、長期的な成果を得られるようにします。
その後に控える大きな交渉や、継続的に交渉が続くケースでは有効な交渉スタイルです。

競合(Competing)

寛容とは逆に、得られる成果は大きいが、関係性が小さくなる。というケーです。これはWin-Loseの状況と呼ばれ、双方が短期的な目標をもった交渉で、双方にとって相手との関係性が重要でない場合には有効です。
こうした競争的な交渉に入る際は明確な目標を持つことで、その交渉から何を得る必要があるのかに集中することができるようになります。
予め交渉の目標を書き出すことは良い準備になりますし、最大の成果を手に入れるための譲歩案を考えることも有効です

協力(Collaborating)

回避とは逆に、結果と関係の両方が重要視される場合に有効なのが協調戦略です。このWin-Win戦略は、両者が協力して大きな成果を得ることを目的とします。信頼を築き、コラボレーション(協働)が行われためには、信頼が大きく影響します。創造的な課題解決はこのようなWin-Winの状況でしばしば用いられますから、どんな交渉であってもまずはここを目指すべきです。

妥協(Compromise)

チャートの真ん中に位置する妥協は、ギブアンドテイクに重点を置いた交渉スタイルです。双方に合意を見いだせない場合に検討され、相手に成果を譲る代わりに何かを諦める、あるいは相手が何かを諦める代わりに自分も同じように諦める。というケースです。
この妥協の交渉スタイルでは、交渉者同士が完全に協力することはできませんが、それでも彼らの目的を達成し、関係を維持したい場合に利用されます。

日常にもある交渉の場面

「交渉」と聞くとビジネスや政治の場でのみ行われていると思われがちですが、交渉は日常的に、公式・非公式に常に行われています。

安く買いたいと思っている消費者と、高く売りたいと思っている販売店。
給料を上げたいと思っている従業員と、利益を上げたいと思っている経営者。
家事の分担、デートの約束から、割り勘か奢りか、まで多岐に渡ります。

そんな日常的な場面でも、自分がどういうスタンスでその交渉に立っているのかを把握できれば、あえて成果を譲ることで関係性を良くしたり、時には交渉を避けて結論を先送りしてみたり、あるいは協力することで想像していた以上の成果を得ることが出来るかもしれません。

交渉において大切なことは、損得だけではなく、その結果に納得しているか?ということではないでしょうか。
今回のフレームワークのポイントである「関係性」と「利益」のトレードオフはあらゆる場面で役に立ちそうです。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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