月刊ゴルフマネジメント連載#21 全てのマネージャーが身につけるべき「1 on 1」のテクニック(下)

ゴルフ界の総合経営誌『月刊ゴルフマネジメント』さんで、人材育成に関するコラムを連載させていただいております。

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第19回はのテーマは『全てのマネージャーが身につけるべき「1 on 1」のテクニック(下)』です。

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前回のコラムでは「いま1on1が必要とされる理由」「1on1の目的」について見てきました。今回は実践編ということで代表的な1on1のフレームワークをご紹介します。

いくつかの具体的な「型」を使えば初めて1on1をやる方でも流れに沿って進めることが出来ますので参考にしてみてください。通常1on1は30分程度の時間で行われることが多いので、30分の中の目安時間も参考にしてみてください。

目次

1on1の基本の型は「解凍」→「テーマの設定」→「傾聴」→「行動を促す」→「必要なサポートを確認」→「感謝と承認」

解凍(目安時間:2-3分)

解凍は緊張を取り除いたり、場を和ませるための重要な儀式だと考えます。いきなり「では今日は◯◯についてなんだけど」と始まると会議のような畏まった雰囲気になってしまいますから、まずは「最近の体調や気分はどう?」や「最近何か変わったことはありましたか?」というように相手の状況を尋ねるのが一般的です。他にも「前回の話から何か変化はあった?」など過去に話した話題を振り返るのも良いですし、相手が緊張していたり会話に慣れていない場合は「自己開示」で「こないだ◯◯を初めて食べたんだけど」という具合に自分の話からスタートするのも効果的です。

テーマの設定:(目安時間:3-5分)

ある程度場が温まってきたら「今日はどんなことを話しましょうか?」とテーマを出してもらいます。このときに相手が「今日は◯◯について話したいです」と言ってくれれば良いのですが、約半数程度のメンティーは「特に思い浮かびません」と回答します。その時は「では、◯◯について何か意見をもらえないかな?」という具合にテーマを振ってあげてください。このテーマは予め用意しておくのがベターで、「職場で起こっていることについて」「中長期のキャリアについて」「今取り組んでいる仕事について」などが代表的です。

またこの他にも愚痴っぽい話から会話が始まるケースがあります。こういう場合はひとしきり聞いた後に「では今日のテーマは◯◯にしましょうか」という具合に愚痴の内容から”テーマに落とし込む”という作業をします。例えば上司や同僚の愚痴、あるいは会社や経営者への不満が会話の内容だった場合は「では今日のテーマは上司とのコミュニケーション」にしましょうか?という具合にテーマを絞ってみてください。

傾聴:(目安時間:10-15分)

テーマが決まったら話を聴いていくのですが、1on1のテーマは前回のコラムでも書いたように業務報告ではなく「業務支援」「内省による成長支援」「精神支援(メンタルヘルスのサポート)」の3つです。前回紹介した「経験学習モデル」に沿って「何があったの?」「何があなたにそう思わせたの?」「相手は何を求めていたんだろう?」「あなたがその経験から学んだことがあったとした何?」という具合に質問をして、回答に感想や意見を挟まずに「なるほど」「そうですか」「わかりました」「オウム返し(◯◯と思ったんですね)」という具合に相槌を入れながら聴いていきます。

ここでの問いで重要なのは?「なぜ?」を使わないことです。「なぜ?」や「どうして?」は相手に説明を求める質問であること対して、「なに?」は相手に情報を整理させて課題を特定させるための質問です。例えば「なぜ売上が上がらないのですか?」という質問と「売上が上がらない原因は何だと思いますか?」という質問を受けた場合を比べると後者の方がより客観的に考えられると感じるはずです。

「最近仕事の意欲がわかないんです」という話で「なぜ仕事の意欲がわかないの?「どうして?」と聞かれると何か責められたような気分になるのに対して、「仕事の意欲がわかないのは何が原因なんですかね?」と聞かれると自分を客観的に観察するきっかけになります。傾聴の目的は相手の言語化をサポートすることですから、できるだけ相手が言葉にしやすい問いを心がけてみてください。

行動を促す:(目安時間:1-3分)

傾聴で「教訓化」ができたら、次回の1on1までに教訓に従って実践することを書き出します。ここで重要なのは「次回の1on1まで」という具合に期日を設けることです。私達人間には現状維持バイアスという心理作用があり、変化や新しい取り組みをすることで起こる損失(安定の損失)を無意識に避ける傾向があります。ですから期日や回数を設けることで、「次の1on1までの2週間だけやってみよう」「次までに1回だけやってみよう」というように限定的に行動を促すことも効果的です。

あくまでも指示にならないように「1回くらい試してみてももいいかもね」という具合に本人が主体的に決断できるよう後押ししましょう。

必要なサポートを確認(目安時間:1-3分)

行動が決まったら、その行動を起こすにあたっての必要な支援を出してもらいます。具体的には「経費の承認」「メンバーへのフォロー」「同行」などがそれです。

感謝と承認(目安時間:1-3分)

一通りの会話が終わったら最後に「今日は時間をとってくれてありがとう」「言いにくいことを話してくれてありがとう」という具合に感謝を伝えて会話を終えます。第13回のコラムでもお伝えしたように「感謝」は最も簡単かつ効果的なフィードバックなので、どんどん使ってください。ここまでが最も基本的な1on1の型です。

1on1のNG行動セルフチェック

1on1を始めたばかりの頃は以下のNG行動をしてしまいやすいので、終わるたびにセルフチェックしてみましょう。

話す時間は相手が70%以上だったか?

最も多いNGは自分の方がたくさん話してしまったというケースです。特に相手が口数が少なくおとなしい相手の場合や、思考のスピードが遅めの人が相手の場合は沈黙の時間が多くなります。間を埋めようと自分の意見を述べてしまうケースがありますので、「沈黙を恐れない」というのも1on1では重要なテクニックです。自分の話す時間が少なくとも半分を超えないように注意しましょう。

アドバイスや解決法を提示しなかったか?

1on1の目的は成長支援です。ですから例えあなたが正しい答えをもっていたとしても本人が主体的に考え、その答えを自ら導き出す能力を開発することが重要であって、課題を解決することは1on1の目的ではありません。課題解決に向けてのタスクを伝えたい場合、それは正式なプロジェクト会議の場やチームでの合意形成を伴って解決されればいいので1on1では割り切って相手が考えることを優先しましょう。

評価をしなかったか?

ここまで読んだ方の中でネガティブなフィードバックをする方は流石に少ないと思いますが、些細な発言で「えらい、すごい」と褒めたり、「君ならできるよ!、やれるよ!」という具合におだてることで行動を促すような評価をするのも要注意です。大抵の場合1on1は上司が部下に対して行うことが多いので、上司の期待に応えようとする発言や、期待を失うことへの恐れから、正直な言葉を引き出しづらくなります。褒めるよりも感謝を伝えることを意識しましょう。

この記事を書いた人

ゴルフ活動家
ゴルフビジネスに特化したコンサルティング、ゴルフ場のオーナー代理人、ゴルフコース改修プロジェクトマネージャー、人材育成のためのコーチング、セミナーや執筆をしてます。詳しくはプロフィールページをご覧ください。

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